ご存知の通り現在の日本では医療大麻の所持は禁止されています。
しかし、医療大麻によるエンド・カンナビノイド・システム(ECS)の刺激及びカンナビノイドの補給は、私達に大きな恩恵をもたらすことも様々な研究により明るみになってきています。
そこでこの記事では「医療大麻」の摂取以外に、エンド・カンナビノイド・システムを刺激する方法を紹介したいと思います。
エンドカンナビノイドシステムを刺激するメリット
まずはエンドカンナビノイドシステムを刺激するメリットを説明します。
大麻植物に含まれるカンナビノイドは私達の体内のカンナビノイド受容体に結合します。
そしてカンナビノイド受容体を刺激することにより、うつ病、不安障害、ストレス障害、多発性硬化症、睡眠障害、線維筋痛症、パーキンソン病、炎症、偏頭痛、などの悩み改善に可能性をもたらせます。
またカンナビノイド受容体はタイプ1の「CB1」とタイプ2の「CB2」があり、
CB1は特に中枢神経系において様々な神経伝達調整を行っており、記憶・認知・運動制御・食欲調節・報酬系の制御・鎮痛・脂肪代謝など多岐にわたる生理作用を担っています。
CB2は免疫細胞や白血球に多く発現し、免疫機能や炎症の制御に関与しています。
エンドカンナビノイドシステムを刺激する27の方法
エンドカンナビノイドレベルの維持が私達人間にとって重要であることがわかったところで、本題の「医療大麻以外でエンドカンナビノイドシステムを刺激する方法」を紹介します。
1.歌を歌う
歌を歌うことにより、カンナビノイドに似たドーパミンが放出されエンドカンナビノイドレベルが上方調節されたことと同等の恩恵をもたらせてくれる研究報告があります。
2.ランニング
ランニングによるランナーズハイも、カンナビノイドに似た脳内情報伝達物質が発生することがわかっています。
3.寒冷暴露
寒冷暴露は、エンドカンナビノイドレベルを増加させる研究報告があります。
冷たいシャワーを浴びる、薄着で冬の屋外に出る、冷たい氷を顔に当てる、などにより自分自分のエンドカンナビノイドレベルを向上されられる可能性があります。
4.性ホルモン
女性ホルモン・男性ホルモンもまたエンドカンナビノイド系を刺激しサポートします。
テストステロンとエストラジオールの両方がCB1受容体を活性化することが報告されています。またエストラジオールはCB1受容体を活性化するエンドカンナビノイドの合成および放出を増加させます。
5.コーヒー
コーヒーを飲むことも、エンドカンナビノイド系を刺激しサポートします。
研究者によると、エンドカンナビノイド系がカフェインの精神活性特性に関与していると考えられています。
通常のカフェイン摂取は、エンドカンナビノイドによるCB1受容体の活性化を促進することが報告させています。
また、CB1受容体も「ストレス」に弱いですが、カフェインがこの作用を妨げる働きをします。
ただし、コーヒーは睡眠の妨げることがあるので、コーヒーの摂取は午前中までにしましょう。
6.エクストラバージンオリーブオイル
エクストラバージンオリーブもカンナビノイド受容体を上方調節してくれる報告があります。
また、オリーブオイルには強力な抗炎症効果もあり、健康上に多くの利点があります。
オリーブオイルは特に種類が豊富で、エクストラバージンオイルでも低品質な製品が流通していることも多いです。
信頼できるブランドの製品を選びましょう。
7.カンナビジオール(CBDオイル)
カンナビジオール(Cannabidiol)は、大麻主成分であるカンナビノイドの内の1つです。カンナビジオールには精神活性作用はありませんが、幅広い医療用途への期待があります。
CBDがCB1受容体の脳内で発現を増強することが研究によって示されています。
CBDオイルおよびCBD製品であれば日本国内でも購入可能です。
8.フラボノイド
フラボノイドはほどんどの果物や野菜に含まれる植物化合物です。
カカオ、紅茶、ワイン、豆類、ハーブ、スパイス、ナッツ、種子などにも含まれるいます。一般的にはカラフルな果物・野菜に多く含まれる傾向にあります。
フラボノイドはエンドカンナビノイドの分解に関与する酵素である脂肪酸アミド加水分解酵素を阻害します。
毎日多くの新鮮な野菜・果物を食べてフラボノイドを摂取しましょう。調理方法によってはフラボノイドは減少することもあります。
9.緑茶
お茶に含まれるカテキン類は抗炎症作用や神経保護作用を持つ抗酸化化合物です。
研究者らは、茶中のカテキンが中枢神経系カンナビノイド受容体と結合することを発見しました。
カテキン類のなかでもエピガロカテキンガレートは最もよく知られているカテキンです。それは緑茶から見つかりました。
緑茶からエピガロカテキンガレート濃縮緑茶抽出物を採取し、エンドカンナビノイド系をサポートする方法もあります。
10.カバァ kava
カバァとはコショウ科の植物の根っこを乾燥させた粉末を水分で混ぜた液体のことです。
ハワイやポリネシア諸島で古代から宗教的な儀式でも用いられてきました。
ハワイでもネイティブアメリカン以外に飲んだことがある人は少ないが、専用バーなどで嗜むことができる。日本でも合法でアルコールに近い感覚がある。
研究者は市販のカヴァサプリメントでカヴァの化合物であるヤンゴニンがCB1受容体に結合し、カヴァの抗不安作用がエンドカンナビノイド系を刺激している可能性があると結論つけました。
11.オステオパシー
オステオパシーは、骨・関節・筋肉をマッサージすることによって疾患の治療を強調する治癒様式です。
骨粗鬆症治療後のエンドカンナビノイドレベルが平均168%増加した研究報告があります。
12.プロバイオティクス
研究により、いくつかのプロバイオティクスがエンドカンナビノイド系を刺激し支持することが示唆されています。
プロバイオティック乳酸菌の特定菌株がCB2受容体の発現を増加しました。
またプロバイオティクスは迷走神経を刺激して鬱(うつ)を助けることも示されています。
13.ダークチョコレート
ダークチョコレートは酸化ストレスを軽減させるフラボールやポリフェノールなどの抗酸化物質を豊富に含みます。
さらにエンドカンナビノイドアナンダミドも含まれています。またアナンダミドの分解を遅らせ、エンドカンナビノイド系を刺激するアナンダミドの量を増加させる他の化合物も含まれています。
14.ストレス
ストレスはCB1受容体を下方調節させてしまう大きな要因の1つです。慢性的にストレスの多い状況によって引き起こされる高いコルチゾールレベルもCB1受容体を減少させ、CB1受容体へのカンナビノイド結合も減少させてしまいます。
また、ストレスに適切に対応するためにはエンドカンナビノイド系全体が必要であるという強い証拠があることを研究者は述べています。
ストレスを軽減させるためのいくつかの方法は、瞑想、マッサージ、心拍変動トレーニングなどになります。
ストレス低減を助けてくれるサプリメントとしては、亜鉛、マグネシウムなどになります。
15.マグノリアオフィシナリス Magnolia Officinolis
マグノリアオフィシナリスは、神経保護およびリラックス効果を有するという特徴のある植物です。
東洋伝統医学では、不安、うつ病、睡眠障害の治療に使用されています。
研究者らは、マグノリアオフィシナリス抽出物およびその主要な生理活性成分がカンナビノイド受容体を活性化できることを発見しました。
お茶としてマグノリアティーを飲むこともできます。
16.エクササイズ
エクササイズはエンドカンナビノイドシステムを刺激しサポートするとても素晴らしい方法の1つです。
中程度および強強度の運動はエンドカンナビノイド系を活性化することが報告されています。
研究者は運動がCB1受容体を上方調節し、CB1受容体感受性を高めることを示し、また運動がストレスによるカンナビノイド下方調節を保護することも述べています。
しかし、強制的な運動は逆にストレスレベルを上げてしまい、エンドカンナビノイドレベルは上昇しません。
ですので、自分にあった負担のない活動を見つけて下さい。
17.パイミトイルエタノールアミド
パルミトイルエタノールアミドは抗炎症および神経保護作用を有する天然化合物です。また慢性的な脳の炎症および疼痛にも寄与します。
研究者はパイミトイルエタノールアドミがエンドカンナビノイドを活性・増強することにより疼痛を緩和し気分を高めることを示しています。
パイミトイルエタノールは体内に存在しますが、ヨーロッパではサプリメントや医療用途でも使用されています。
18.オメガ-3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は私達の体内では作り出すことのできない必須脂肪酸です。オメガ3脂肪酸は人間の脳や神経系の機能に必要です。
研究者はオメガ3脂肪酸がエンドカンナビノイドの合成を増加させ、CB1およびCB2受容体の両方を上方調節することを示しています。
オメガ3脂肪酸の摂取量が低いことが、エンドカンナビノイドの機能を不十分にし気分が変化することにも関連しています。
オメガ3脂肪酸は、サーモン、ブラックタラ、ギンガム、イワシ、ニシンなどの魚に多く含まれています。その他、ヘンプシードオイル、ココナッツオイル、MCT オイル、亜麻仁油、えごま油、アボカドオイル、オキアミオイルなどにも含まれます。
多くの現代人はオメガ3脂肪酸を十分に摂取していません。オメガ3脂肪酸を積極的に摂取するようにしましょう。
19.アグマチン
アグマチンはアミノ酸アルギニンの代謝産物です。それは痛みの軽減、治療薬物中毒と脳の毒素を保護します。
またカンナビノイドの鎮痛効果を高めることが示されています。これはカンナビノイドの作用及びCB1受容体を介したシグナル伝達を増加させることによって行われます。
20.カリオフィレン
カリオフィレンは、クローブ、ローズマリー、バジル、オレガノ、ラベンダー、ホップを含む多くの植物およびエッセンシャルオイルに見出される化合物です。黒コショウのスパイシーさでもあります。
カリオフィレンは、抗炎症、神経保護、抗うつ、抗不安および抗アルコール依存症作用を有することが示されています。
これらの効果はカンナビノイド受容体に結合するためと考えられており、またCB2受容体による神経因性疼痛の軽減にも役立ちます。
21.エキナセア Echinacea
エキナセアはネイティブアメリカンの薬用植物でとても人気のある薬草です。
インフルエンザの症状を軽減し、一般的な風邪の期間を短縮するために、しばしばそれを使用します。不安・疲労を軽減させるために使用されることもあります。
アルキルアミドと呼ばれるエキナセアの化合物はCB2受容体に結合することによって炎症を減少させることが示されています。
またアルキルアミドがエンドカンナビノイドの効果を高める発見もしました。
22.ブラックトリュフル
高級食材として有名で黒トリュフと呼ばれる塊茎メラノスポラムは、南ヨーロッパ固有の食用キノコです。
研究者らは黒トリュフの中にエンドカンナビノイドアナンダミドを発見しました。
23.ジインドリルメタン
ジインドリルメタンは、ブロッコリー、カリフラワー、ブリュッセルの芽、キャベツ、ケールなどのアブラナ科野菜に見られる抗発がん性化合物です。
ジインドリルメタンは、これらの野菜がとても健康であると考えられている理由の1つでもあります。
研究によると、ジインドリルメタンはCB2受容体に結合するため炎症を減少させることが示されています。
24.Ruta Grevelens
Rutaとして知られていることが多いRuta graveolensは薬草です。
研究者らは、Rutaのの中の化合物がカンナビノイド受容体に結合することを発見しました。
25.オランダセンニチ Acmella Oleracea
オランダセンニチ(学名:Acmella Oleracea)はアマゾン地域などの薬草です。
フィトカンナビノイドおよび疼痛・炎症を減少させることができる化合物を含んでいます。
26.Helichrysum Umbraculigerum
Helichrysum Umbraculigerumは南アフリカ産の抗炎症および抗酸化特性を持つ植物です。
何千年もの間、特にイタリア、スペイン、ポルトガルなどの国で薬用に使用されています。
エンドカンナビノイド系を刺激するフィトカンナビノイドであるカンナビゴールが含まれているため、抗うつ効果がある可能性が高いことが示されています。
27.ラドラ・マリギナータ Radula Marginata
ラドラ・マリギナータはニュージーランドでよく見られる植物です。
それはCB1受容体に結合し、エンドカンナビノイド系を活性化するカンナビノイド及びカンナビノイド化合物を含みます。
まとめ
このように、医療用途以外にもエンド・カンナビノイド・システムを上方調節してくれるものは沢山あります。
上手に取り入れてエンドカンナビノイドレベルを高い次元で維持し、健康生活の質を向上させていきましょう。