「フルスペクトラム」の CBD 製品を追求していくと、必ずといって良いほど出てくるテルペンという言葉。
テルペンはCBDオイルにおいて重要な役割を担う成分でもあります。それではテルペンというのは一体どういったものなのでしょうか?
テルペンとは?
植物などによって作り出される生体物質
テルペン(terpene)はイソプレン※1を構成単位とする炭素水素※2となり、植物や昆虫、菌類などによって作り出される生体物質※3となります。
※2)炭素原子と水素原子だけでできた化合物
※3)生物の体内に存在する化学物質
このように説明すると何だか難しいですが、実は私たちの身近に存在しているものなのです。
植物に香りや風味を与える成分に含まれている
テルペンは植物に香りや風味を与える成分に含まれていて、揮発性で独特な香りをもった分子となり、血圧を下げる働きやリラックスさせる働きがあります。
つまり、刺激的な強い香りの多くはテルペンが生み出すもの。
身近なところでいえば柑橘系のさわやかな香りでスッキリした気分になるのは、香気成分によって脳内でリラックス時に発生するα波が出るからだといわれています。
また、スギやヒノキなどの木の種類には人をリラックスさせるものがあり、その香りによって落ち着いたり血圧や血流が下がるという報告もあります。
テルペンによる香り成分は神経系や免疫系などに働きかけることでストレス解消や心身のリラックスに効果があるといわれ、アロマテラピーや香水などに広く使われているのです。
この刺激的な強い香りが虫や草食動物を寄せ付けず、菌類から守る役目を果たすなど植物は独自の進化を遂げてきました。
それでは大麻草に含まれているテルペンはどのようなものなのでしょうか?
テルペンの呼び方
一般的にテルペンというのはモノテルペンのことをさしますが、テルペンにはいくつか呼び方があってイソプレンの単位の数に応じて異なります。
- ヘミテルペン(C5)
- モノテルペン(C10)
- セスキテルペン(C15)
- ジテルペン(C20)
- セスタテルペン(C25)
- トリテルペン(C30)
- セスクアテルペン(C35)
- テトラテルペン(C40)
テルペン類のうち、カルボニル基やヒドロキシ基などの官能基を持つ誘導体はテルペノイド(terpenoid)もしくはイソプレノイドと呼ばれています。
※「~基」というのは原子団とも呼ばれ原子の集合体を指し示すもの。
麻は主にモノテルペンとセスキテルペンを含んでいますが、どのようなテルペンが含まれているのか掘り下げてみましょう。
ヘンプに含まれる代表的なテルペン
フルスペクトラムの CBD 製品に含まれる約200種類のテルペンのうち、代表的なテルペンの種類について記載します。
ミルセン
ミルセンは大麻草に最も多く含まれるテルペンです。
大麻草のほか、タイム、ホップ、レモングラス、マンゴー、バジルなどのハーブに含まれていて、クローブに似た豊かな土っぽい香りをもたらします。
医療用途としては研究により鎮痛・鎮静効果、筋肉をリラックスさせる働き、糖尿病の治療に有効であることが発表され、民間治療薬として用いられてきたブラジルの植物「ミルキア・セファエロカルパ」からその名が付けられました。
ミルセンは血液脳関門への浸透性を促して、通過できるカンナビノイドの量を増やし、その効果を高めることが示されています。
つまり、ミルセンの濃度が高ければ高いほど生体利用効率を促進するといえましょう。
ユーカリプトール
ユーカリプトールはシネオールとしても知られていてユーカリに多く含まれる成分となり、ローリエ、ヨモギ、バジリコ、ニガヨモギ、ローズマリー、セージなどの葉にも含まれています。
心良い芳香はカンファーに似たさわやかな匂いを放ち、スッキリとした味を持つことから、食品添加物、調理スパイス及び香料、化粧品として使用されています。
また、医療用途では鎮咳剤、うがい薬、せき止めなど様々な製品に使用されているテルペンです。
リモネン
リモネンは自然界に広く存在する最も一般的なテルペンのひとつ。
レモンやオレンジなど柑橘類の果皮に含まれていて、そのさわやかな香りには不安やストレスの緩和に効果があるといわれ、気分の高揚、活力の回復が促進される傾向にあります。
小規模の研究ではうつ病の入院患者を柑橘系の香りにさらしたところ、12人中9人が抗うつ剤をやめるなど正の効果を示したという報告もされています。
また、抗炎症性、抗菌性、抗真菌性を持つほか、コレステロールを含む胆石の分解、がん細胞の細胞死の誘発、特定の型のがんの予防、胸焼けの軽減などの作用を持つことがわかっています。
ピネン
ピネンは松脂や針葉樹に含まれるテルペンです。
植物界だけではなく昆虫界にも含まれていて、昆虫同士の化学コミュニケーションシステムの一部。
松またはローズマリー、パセリ、バジル、バラなどに含まれている香り成分で、この香りは脳を活性化させて記憶力を高める効果があることでも知られています。
また、抗菌性、抗炎症性があるほか、低濃度で吸引した際には気管支の拡張作用も認められています。
リナロール
リナロールはクスノキ科のローズウッドに最も多く含まれるテルペンです。
花のような香りをもつリナロールはラベンダーにも多く含まれ、リラクゼーションや幸福な感情を促進する作用があるため、アロマテラピーによく使われます。
その落ち着くような鎮静効果から、睡眠を助け、うつ病にも役立つとされているほか、鎮痛、抗炎症薬、または肝臓癌の治療を助けるために使用することができるともいわれています。
βカリオフィレン
カリオフィレンはブラックペッパーやクローブなどに含まれるテルペンで、胡椒のような香りがします。
ほかのテルペン類とは異なる性質を持っていて、カンナビノイド CB2 受容体を活性化することでカンナビノイドのような作用をする、疑似カンナビノイド的作用を持つとみなされているのです。
これにより、βカリオフィレンに抗炎症効果、免疫調整効果があることに説明がつき、不安やうつを緩和し、がん細胞の死を促進することも分かっていてアルコール中毒の治療法となる可能性も持っています。
ほとんどの研究は動物モデルにおいて示されたデータとなりますが、βカリオフィレンはテルペン類の中でも最も薬理効果の高い化合物であるといえるでしょう。
まとめ
このようにフルスペクトラムの CBD 製品に含まれるテルペンには、様々な香りや作用を持つものがあります。
カンナビノイドと同様にリラクゼーションには不可欠ともいえるテルペンですが、この二つの成分により相乗効果が期待できる「アントラージュ効果」を発揮します。